夜の読書にぴったりの場所――ここは【フクロウ書店】。
本好きの君のために、今日も一冊、とっておきの物語を紹介するよ。
食べることと伝えること―あなたにとって、どちらが難しいですか?
今宵、わたしが紹介するのは言葉にするのがちょっと苦手な人たちと、
料理でつながる心を描いた物語 梵辛さんの
『くちべた食堂』。

この物語をひとことで言うと?
「口下手でも、料理があれば気持ちは伝わる」
◆ 物語の舞台とあらすじ
舞台は小さな食堂。
5年の葛藤を経て、とうとう店に足を踏み入れた高校教師の柳凛と、
毎日ランチタイムに自分の店の前を素通りする柳のことが気になっていた店員、
くちなし日代乃。そんな二人の不器用な交流を描いた、くちべたグルメコメディ
食堂で出会う料理は、シンプルだけれどどこか懐かしく、
食べた瞬間に胸の奥まであたたかくなる。
ひと皿の料理を通じて、人と人の距離がふっと縮まっていく―そんな日々を描いた物語だ。
◆ 作品の魅力
1. 「食べること」のやさしさ
この作品に出てくる料理は、特別なごちそうではない。
日常のごはんだ。
けれど、それが誰かの心を救い、明日を生きる力を与える。
料理の持つ「魔法」を、読んでいる自分まで感じられるのだ。
2. くちべたな人々のリアルな姿
登場人物はみな、少し不器用で、言葉が足りなくて、誤解したり、悩んだりする。
でも、そんな彼女らだからこそ「わかる」と思える瞬間がある。
読者自身の生活や、言えなかった気持ちが重なり、物語がそっと心に寄り添ってくる。
3. ふわっと心をほどく雰囲気
派手な事件や劇的な展開はない。
けれどページをめくるたびに、温かいスープを飲んだときのように落ち着いていく。
忙しい日々に疲れたときに読むと、
まるで食堂の椅子に腰かけているような安心感を味わえるだろう。

◆ こんな方におすすめ
- 食と人との物語が好きな方
- ハートウォーミングな漫画を探している方
- 日常の中で小さな幸せを見つけたい方
- 言葉にするのが苦手で「わかる」と共感したい方
まとめ
『くちべた食堂』は、華やかさよりも
「心に沁みる日常の温かさ」を描いた作品だ。
人は誰もが言葉でうまく伝えられない気持ちを抱えている。
けれど、料理ひと皿を前にすれば、
その想いが少しだけ伝わることもある――そう気づかせてくれる。
食べることと伝えること―あなたにとって、どちらが難しいですか?
ページを閉じたあと、きっと君も何かを作りたくなるだろう。
大切な人に、今日の気持ちを込めて。
◆ 作品の基本情報
- 書名 :『くちべた食堂』
- 作者 :梵辛(ぼんから)
- レーベル:ビームコミックス(KADOKAWA)
- 巻数 :既存6巻
- ジャンル:ギャグ・コメディ、グルメ